いとしき声
夜は2人の時間だ。誰にも邪魔されず、一緒に過ごせる唯一の時間。
「んっ・・・」
男2人分の体重を受けて軋むベッドの上から、押し殺したような声が聞こえてくる。
身体にすっと手を滑らせながら、彼の反応に不満そうに呟く。
「こえ、殺さなくてもいいのに・・・」
「ふっん・・・・だれっ・・が」
「・・・・・・ねぇ、リューグ」
身体を彷徨っていた手が、ぷっくりと膨れ上がった突起を捉える。
そっと耳元に唇を寄せると、優しく甘く囁いた。
「声、聴かせて?」
「やっ・・・あっ!!」
キュッとそこを摘み上げると、これまでとは比べものにならないくらいの甲高い声が響き渡る。
それに気付いたリューグが、慌てて口を塞いだ。
だが一度思い切り出してしまった声はそう簡単に抑えることが出来ず、執拗に責めてくる指に耐えることが出来なかった。
「あっ・・・やめっ・・・・・んん」
それでも必死に抵抗してくるリューグに、もしかしたら自分のことが嫌いになったのかと一抹の不安を覚える。
ロッカは突起を弄っていた指を僅かに緩めながら、寂しそうな笑顔を向けた。
「僕のこと、嫌いになった?」
「ちがっぁ・・・」
間髪いれずに答えてくれたことに心底安堵するも、リューグはいっこうに抵抗を止める気配がない。
どうしてだろうと不安が顔に出ていたのか、リューグが喘ぎ喘ぎその意味を口にした。
「こえっ・・・が・・」
「声?」
「んっく・・・・・外に聞こえる・・・だろっ」
「そんっ・・・」
思わずそんなこと気にしていたのかと言ってしまいそうになって、慌てて口を噤む。
リューグは未だにバレていないと思っているが、自分達がこういう関係であることは周知の事実だ。
今更自分達の部屋から、そういう声が聞こえてきたところで、誰も気にするものはいないだろう。
にも拘らず、お邪魔虫がいるせいでなかなか2人きりになれないのは、どういうことなんだろうか。
「はぁ・・・・・・」
「あっ・・・ロッカ?」
しらずしらず溜め息を漏らしてしまい、リューグが心配そうに瞳を覗き込んでくる。
そんなリューグににこっと微笑んでみせると、つうっと指を動かしながら下腹部の辺りまで移動させる。
下着の中にゆっくりと指を潜り込ませ、リューグのそれをギュッと握りこんだ。
「ひゃっ・・・・んん」
途端にリューグの身体がびくんと跳ね上がり、痺れるような快感が彼を襲う。
ロッカは小さく笑みを浮かべながら、そこをゆるゆると優しく扱き始めた。
「あっ、やぁ・・・声、が・・・っ」
「大丈夫だよ」
手の動きは休めずに、嫌がるリューグの唇にそっと口付けを落とす。
軽く触れ合うだけの、優しい口付け。
「ふっぁ・・・・・」
「今は、僕とリューグの2人だけだから。誰にも君の可愛い声なんて、きかせないよ」
「なっ、ばっ・・・・」
そう言いながらロッカが優しく笑いかけると、リューグの顔がみるみる真っ赤に染まっていく。
そして恥ずかしさが限界まできたのか、ロッカからぷいっと顔を背けてしまった。
「リューグ・・・こっち向いて?」
顔が見たくて問いかけてみるも、リューグは頑なな態度でそれを拒む。
ロッカはやれやれと苦笑しながら、リューグの蜜で濡れぼそった指を、彼の秘部へと埋め込んだ。
「んあっ・・・」
突然のことに、リューグが大きく声を上げて身震いする。
なかに挿れられた指が縦横無尽に動き回るたびに、ぞくぞくとした快感が身体中を駆け巡った。
「ここがいいんだよね?」
ロッカは楽しそうに呟きながら、動き回っていた指でよく知った彼の敏感なところを刺激する。
「うぁっ・・・・んぅ・・」
そこを刺激するたびに、リューグの口からは甘い響きを伴った官能的な声が喘ぎ漏れた。
普段の彼からは想像できない、自分だけしか聴くことの出来ないその声をしっかりと耳に留めながら、
ロッカはなかを探っていた指を乱暴に引き抜く。
「んやっ・・・?」
リューグはそのことに不満そうな声を漏らしながら、ロッカのことを見つめる。
その様子に薄く笑いを浮かべながら、じっと瞳を見返した。
「僕が欲しい?」
「はっ・・・・・」
ロッカが短く囁いた言葉に、リューグは僅かに困惑の表情をみせる。
だがだんだんと言葉の意味を理解してきたのか、頬を染めながらキョロキョロと視線を彷徨わせ始めた。
それでもロッカは彼から視線を外すことなく、狂おしいほど真剣な眼差しを向け続ける。
リューグはそんな視線を感じ取ったのか、小さく、本当に小さく、こくんと頷いた。
「リューグ・・・」
いとおし気に彼の名前を呟くと、ロッカは自分の猛ったものを取り出す。
それをぐっと、今まで指の埋め込まれていたところへとあてがった。
「うっ・・・ああっ――――」
「っ、リューグ・・・・」
ロッカの声とリューグの声が合わさりながら、2人だけの空間に静かに響き渡った。
なんだか、ただしているだけですみません(汗
リューグに、兄貴と呼ばせるかロッカと呼ばせるかで無駄に悩んだ気がします。
個人的には兄貴のが断然好きですけどv
ですが、たまにはこんな2人もいいかなぁとか思ったり・・・。
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