温かな日差しというのは、どうしてこうも眠気を誘うのか。
窓際にごろりと寝転び、柔らかい光に身を包まれながらそんなことを考える。
だが、それもすぐに頭のなかで霧散していく。
眠るつもりなどなかった。なかったはずなのだが。
彼の意識は緩やかに、夢の世界へと引き込まれていった。
温度
「何を、しているんだ?こんなところで・・・」
ネスティは怪訝そうに眉根を寄せ、ポツリと呆れたように呟く。
時折り吹く風が、彼の髪を静かに靡かせている。
微かな寝息に、規則正しく上下する胸。
そんなことから彼が寝ているのだということはすぐに知れたが、こんな場所でと言うのは非常に珍しい。
(まあ、この陽気では仕方がないだろう)
ふと外に視線をやって、軽く苦笑する。
こんな日は、自分も机に向かっているとよくうとうとするものだ。
「しかし、このままでは風邪を引く」
誰にともなく口に出し、ネスティは彼を起こすために傍へと屈み込む。
ごろんと彼が寝返りを打ち、その顔をネスティに向けた。
普段は緊張に強張っている表情も、今は幸せそうに緩んでいる。
いつも、こういう顔をしていて欲しいと思う。
だが、常に気を引き締めなければならない状況にいるのも事実で。
「・・・仕方がない」
諦めたように呟き、屈めた体をいったん起こしてその場に座り込んだ。
珍しくもこんな幸せそうな顔をしている彼を起こすなど、ネスティにはとても出来そうになかった。
ただゆっくりと、時間だけが過ぎていく。
相手の寝顔を見詰めるだけの穏やかな時間。
ずっと2人で、2人だけのこんな時間が続けばいい。
「リューグ・・・」
そっと名前を呼んで、彼の頬に手を伸ばす。
一瞬躊躇するように止めたそれを、優しく触れさせた。
温かいその温度は、降り注ぐ日差しのせいか、もともとの彼のものか。
ネスティは彼の温もりを確かめるように、自身の手をあちこちに滑らせた。
その手が首筋までいき、ネスティはごくりと唾を飲み込む。
――――このままだとまずい。
欲求を理性で必死に押し止め、小さく頭を振る。
名残惜しげにもう1度彼に触れ、頭を冷やしてこようと立ち上がる。
と、いきなり。
「んんっ・・・・・」
彼が寝苦しそうに、小さく身じろいだ。
「リューグ?」
不安に思い、もう1度彼の傍へと近づいて行く。
どうしたらよいか分からず、彼を安心させるように優しく髪を梳いた。
すると彼は、再び幸せそうに顔を緩ませる。
そしてふわりと、ネスティの手に温かな温度が重ねられた。
「!?」
驚いて彼のほうを見るが、相変わらず静かに寝息を立てている。
しっかりと寝ているはずなのだが、彼はネスティの体温を求めるようにギュッとそれを握り締めた。
「まったく・・・」
繋がれた手を見詰めながら、困ったように、だがどこか嬉しそうに微笑む。
その場に座り直し、空いているほうの手で彼の頬を撫でる。
自分の理性がどこまで持つかと考えながら、ネスティは束の間の安息を楽しむことにしたのだった。
はっ、話が短くて申し訳ないですっ。
とりあえずラブラブな2人を書こうと思ったのですが・・・
リューグが一言も喋ってないですよ(苦笑
最近ネスリュがマイブームなのですが、どうなんでしょう。
マイナー・・・過ぎですか?